NSAID起因性小腸傷害

NSAID起因性小腸傷害

非ステロイド性抗炎症薬 (Non-steroidal anti-inflammatory drugs; NSAIDs) は日常診療において汎用される薬剤ですが上部消化管傷害を起こすことが知られており、さらに近年小腸内視鏡の出現によって小腸にも高頻度に傷害を起こすことがわかってきました。NSAIDsによるプロスタグランジン (Prostaglandin; PG) の欠乏やミトコンドリアの機能障害から粘膜バリアー機能が破綻すると腸内細菌が小腸上皮内に侵入し、Toll様受容体 (Toll-like receptor; TLR) やNod様受容体 (Nod-like receptor; NLR) を介して自然免疫が発動します。NSAID起因性小腸傷害は細胞表面のTLR4がグラム陰性桿菌から放出されるリポ多糖や、傷害上皮から放出されるhigh mobility group box 1を認識することによって発症することを我々は報告しました。一方でNLRは細胞内に存在し、NSAID起因性小腸傷害ではNLR family, pyrin domain-containing 3インフラマソームが重要な役割をしていることを証明しました。NSAID起因性小腸傷害に対しては酸分泌抑制剤の効果が期待できず有効な予防・治療法はまだ確立されていませんが、我々は粘膜防御因子製剤やPG製剤の他に、抗TNF-α抗体、プロバイオティクス、コルヒチンが新たな治療薬の候補となると考え、研究を行っています。

START TYPING AND PRESS ENTER TO SEARCH